前回記事では、自宅で突然の大量出血→愛育病院に緊急入院したときのことを書きました。
◆ 前回記事はこちら ◆
その後退院し、なんとか東京→札幌へと移動もできたのですが、再度出血があり北大病院へ再入院となりました。
この頃には胎盤も少し上がってくれていて、前置胎盤→低置胎盤まで来ていたのですが‥低置胎盤でも大出血しました。。
前回の愛育病院での入院より期間も長引き、点滴にも繋がれっぱなし。リトドリン点滴の副作用がとても嫌でした。
切迫早産の入院生活についてまとめます。
※医療に関する情報はあくまで私の場合に受けた説明であり何も保証しません。ご自身のことは専門家にご確認ください。
またもや警告出血
車椅子で東京→札幌へ移動
東京で愛育病院を退院し、ヒヤヒヤしながら札幌へ移動したのが妊娠27週。
空港では車椅子をレンタルし、なるべく歩かないようにした。
初めての車椅子から見る世界、たった数十分しか乗らなかったのにいろいろ考えさせられた。世の中はやさしい。
車椅子だと見送りの付き添いも搭乗口まで入れるようにしてくれることを知った。
旦那さんとしばしのお別れをして札幌へ移動。
事前に転院の手続きをしていた北大病院の外来診察を受けに行った。
北大病院の初回診察
「胎盤も上がってきてるし出血しそうな感じはあまりしない」と言われてホッとした。
次回は2週間後の外来となる。普通の妊婦健診に戻ったかな?と思う。
更に2週間後の診察では「胎盤が1cmくらい離れて見える」と言われて歓喜!
2cm離れればもう低置胎盤ですらなくなる。あと少しじゃん、と思う。
まさに図の左から順に、全前置胎盤→部分前置胎盤→辺縁前置胎盤→低置胎盤と、じわりじわりと上がってきていた胎盤。
ひたすら胎盤が上がることを願っていたので、祈り通じたような気がした。
ところがその診察の翌朝、少量だけれど鮮血の出血・・・
また警告出血か、と若干慣れ始めている自分もいた。
昨日胎盤離れてるって言われたし大丈夫かな‥と、大丈夫と信じたい気持ちが強すぎて一瞬ためらったがやっぱり即受診することにした。
このときすぐ病院に行くことにしてマジでよかった。
北大病院へ緊急入院〈29w6d〉
朝7時にタクシーで北大病院着、即診察。
「あらら、けっこう出血しちゃってるね。」
嫌な第一声。
もう入院はないだろうという甘い読みはあっさり打ち砕かれた。
「生理2日めくらいの量は出血してそうでちょっと多い。入院した方がいいと思う。」
がーーん。。
「まだ29週だし本当は家に帰してあげたいんだけど‥ちょっとこれだと心配で無理かな。」
いつまで入院になるか質問したけれど、前回の愛育病院と同じで出血の様子次第なのでなんとも言えないという予想通りの回答。
「何もなければ1週間くらいですかね‥?」
前回は入院中何もなく1週間で退院できたもんだから、まあそれと同じかなと思った。
先生も「そうねぇ」という感じだった。
個室満室につき一瞬大部屋に通されて激萎えするも、「優先順位が高い」という喜べない理由で午後からすぐ個室に移れた。
安静度は個室安静で、とりあえずシャワーも禁止。
車椅子で洗髪室に運んでくれて、美容室と同じ体勢で看護師さんがシャンプーしてくれた。
ベッドが血の海の大出血
入院翌日の朝、その日の担当看護師さんが挨拶に来てくれて起きる。
ベッドから起きてトイレにも行き、よし異常なしと思った。しかし数分後、おしりが冷たい。
焦って布団をめくると血まみれだった。。。
心臓がひゅっとなりながら即ナースコール。
すぐ看護師さんが部屋に来てくれる。
「はい、どうしました?」
「出血してるみたいなんですが‥」
「ちょっと見せてください!おお‥けっこう出血‥!流れてる感じありますか??」
「‥はい。」
流血だという感覚があった。明らかにこれまでで一番の大出血に血の気が引く。
看護師さんは新人さんだったようで、焦ってナースコールを押し応援を呼んだ。
それと同時に部屋を飛び出て直接も応援を呼びに行った。
コウノドリの緊急シーンかのように囲まれる
速攻でお医者さんが入ってくる。と思ったら雪崩のように何人もの看護師さんが入ってきて病室が人でいっぱいに。
エコー持ってきて! NSTつけて! ルート取って!
先生が指示を飛ばす。
エコーの機械って持ち運びできるんだ? とか思った。
動かないで!
私ができるのは動かないということだけ。機械の方がやってきてくれた。
同時並行でNSTつけてエコー検査しながら血管ルート確保。
いつもならルート確保とか超嫌がるがそんなこと全然言ってらんない物々しい雰囲気に気圧される。
待って待って、赤ちゃんは無事??
エコー検査する先生にみんなの注目が集まる。沈黙が長く感じる。
「血はすごいけど‥赤ちゃんは無事。今すぐに緊急帝王切開って感じではないかな。」
そう先生が言った瞬間、現場の張り詰めた空気が落ち着く。
今手術室に運ぶのか、否か!? という緊張体制だった看護師さんたちも少しずつ病室から解散していった。
私にとっては人生で一番心臓に悪い経験だった。
リトドリン24時間点滴がキツイ
大出血直後からリトドリン点滴
緊急帝王切開はまぬがれたものの、いつ緊急帝王切開となるかわからない状況と説明される。
実は前日の夜、生理痛のような痛みがあった。
もし生理だったら薬飲むレベルには痛くて、ナースコール押そうかも迷ったのだけれど、眠かったのもあり我慢してしまったのだ。
問診でそれを伝えたら、その時点で言ってくれてたら大出血しなくて済んだかもしれない、今度からはナースコールしてねと言われた。
なんでも初めてだと加減がとにかく難しい。
「これくらい大丈夫かな」と思ったことがそうではなかったりする。
お腹はだいぶ大きくなっていたけれど、元々の子宮があった生理痛で痛む場所(下腹部)が痛かった。
妊娠中に生理痛のような痛みがあったら気をつけてほしい。
同じ痛みが大出血直後にもあったので「生理痛のような鈍痛がある」とはっきり伝えた。
先生は「それはよくない症状だ」と言って、早々にリトドリン(子宮収縮抑制剤)の点滴をスタートした。
子宮が収縮すると出血が起こったり早産に繋がったりしてしまう。
リトドリンは切迫早産の治療で最もよく聞く薬で、愛育病院の入院中にNSTでお腹の張りがあった際にも内服薬タイプは飲んだことがあった。
点滴を開始してまもなく腹痛は消えたため、効いているなと思った。
ところがひどい副作用に悩まされる。
リトドリンの副作用
最初の2~3日は動悸と手の震えがひどかった。
ご飯を食べようと箸を持つ手が震える。震えは点滴中ずっと残っていた。
動悸の方は最初の2~3日がピークでその後は少し落ち着いてたと思う。
点滴開始直後はNSTで胎児の心拍も190くらいまで上がってしまい、それは私が動悸で心拍数が上がっているからで、どうしようもなかった。
嫌でも切り離せない、切り離しては守ってあげられない、一緒にがんばるしかない、運命共同体なんだと痛感した。
副作用がつらいので点滴量を減らしてほしいとひたすら訴える日々へ。
流量は最初が2A25ml→2A23ml→2A20mlと少しずつ減り(減らしてと言い続けた‥)、2週間以上経ってから1A20mlに減り、その数日後に点滴が外れた。
1人で着替えられない
24時間点滴の管がついている生活は超ストレスだった。
トイレにカラカラと点滴を一緒に連れて行くまではいいとして、着替えが1人ではできない。
管が繋がっているから、いちいちナースコールして看護師さんを呼んで管を洋服に通してもらう。
入院して1週間後に解禁されたシャワーも、点滴しながら入る。
点滴箇所を管ごとガーゼでぐるぐる巻きにし、上から防水ビニールのようなものを被せて止める。
片腕が管と一緒なので片手だけを使うが思うようにシャワーを操作できない。シャワーを浴びること自体が憂鬱になっていった。
帰りたいと言い続けた20日間
そんなこんなで「家に帰りたい」と言い続けながら結果20日間入院した。
もうね本当お医者さんや看護師さんには申し訳ない。
だれーも悪くないしどうしようもないし、ためを思って入院継続を勧めてくれていたのだけど、副作用と24時間点滴と自由の少ない入院生活そのものが耐え難かった。
そもそもが妊婦なので精神安定レベルも低いし、前回が1週間の入院で済んでいたのも相まって、帰りたい気持ちが強すぎた。
お医者さんがよく言っていたのは「週数をかせぎたい」という言い回し。
入院時点でまだ29週だったので、なんとか32週までは‥できれば34週までは‥と、マイルストーンを置いて話してくれた。
私が帰りたがる度に早産のリスクについてもきちんと説明してくれた。
本当は正産期(37週)を目標にするものであり、それより前は目標とは言えないというニュアンスだった。
結果的には32週を超えた段階で退院OKの判断が出で、32w2dで退院となった。
退院後は一度も出血なし
おかげさまで大出血を乗り越えたその後は一度も出血することはなかった。
あのとき入院させてもらえてなかったら、家で大出血していたと思うとゾッとする。北大病院に大感謝だ。
退院後最初の外来診察では、なんと胎盤が更に上がってついに常位胎盤に!(通常の位置)
夢にまで見た普通分娩(経膣分娩)適応になった。もう帝王切開だろうと半分諦めていたから本当にうれしかった。
長かった前置胎盤の旅は終わった。
前置胎盤と診断されても最後まで前置胎盤のままの確率は0.5%。
ただ30週を超えてから解消されることは多くない。通常分娩OKの判断が34週まで長引いたのは珍しいそう。
望みを捨てない気持ちが大事、ということにしておこう。
同じ境遇の方へ、
切迫早産のリトドリン点滴と、退院目処のつかない先の見えなさは心が折れそうになると思うけれど、結局は「妊娠には必ず終わりがある」と言い聞かせて自分をなだめなだめ‥がオススメです。
あとは建設的に医者と話し合うこと。
友人に話したりSNSで愚痴を書くのも悪くないけれど、なにかしてくれる当事者に話すのがいいと思う。お医者さんや看護師さんは当事者。
帰りたいなぜ帰れない、点滴減らしてほしいなぜ減らせない、判断者であるお医者さんにガンガン言おう。
以上、次回は出産レポートを書きたいと思います。
つづく
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