X(Twitter)で万バズしたことで多くの意見が知れて、とても興味深いと思った「ディズニーのゴミ箱が溢れていた」件。
そろそろ新しい意見も見かけなくなり簡単な分析がまとめられそうです。
WEBメディアの記事に取り上げられ、更にそれがYahoo!ニュースに載ったよう。
今の時代仕方ないけれど、自分が実際に体験したからこそ得た一次情報が、勝手にピックされて記事にまとめられて配信されると、あなたはその場におらず体験もしてなくて全然関係ないのにどこから‥?という感じはしましたね。
なので実際に現場を見た側からの目線で、書いていきます。
ディズニーのゴミ箱が溢れているのは、ありえなくないのか?
そもそもの大前提、ディズニーのゴミ箱が溢れているなんてありえない、と私は思っていた。もちろん今も思っている。
ところが驚いたことに、
「こうなっていたら他のゴミ箱に捨てればいい」
「こうなっていても大丈夫なようにゴミ袋を持参して持ち帰ればいい」
え?
ディズニーのゴミ箱が溢れていたならばこうすればいいじゃないか、論。
待って。
ディズニーのゴミ箱が溢れていて、いいの!?
ディズニーのゴミ箱がこうなっていて、いいの!?
受け入れてるということは、ゴミ箱がこうなっているディズニーに行きたいのだろうか。
ディズニーのゴミ箱がこうなっていること自体にありえないと感じず、溢れていたとしてもそれを受け入れて、ゲストが対処すればいいじゃないかって?
はっきり言う、そんなのはディズニーじゃないね。
私個人がディズニーをどう思うかとかの次元の話じゃない。
ディズニー自身が、そんなディズニーでありたいと思っていない。
ゴミがゴミ箱から溢れているなんていう光景が、ゲストに見られることがあってはいけないとハッキリ言っている。
あぁそうか、ウォルトディズニーの掲げる理念を知らない人が、そういった発言をしているんだなとすぐに理解した。
ディズニーの“クレンリネス”基準は「そこで赤ちゃんがハイハイできるか」
ディズニーの掃除のコンセプトは「世界一安全で清潔な場所」、モットーは「汚れたから清掃するのではなく、汚れる前から清掃」。
目指す清潔さの基準は「そこで赤ちゃんがハイハイできるか」。
他にも、
●24時間そうじする
●毎晩、夜中は大そうじ
●汚れる前にそうじする
●担当の境目は作らない
●大雨の日も?もちろん!
元カストーディアル部長の方が「ここまでやるか!」を徹底して、TDL流の掃除システムを作り上げたという。
改めてまとめてみても、素晴らしい。
魔法のおそうじ、だよ。掃除すら魔法。
そう、だから、みんなディズニーが好きなんだ。
世界一安全で清潔で、そこで赤ちゃんがハイハイできるテーマパークなんて、他にない。
そんな高い目標を掲げて、掲げるだけではなくそれを叶えようと運営をして、パークは24時間清掃がされている。
ディズニーで感動するポイントはクレンリネス以外にもたくさんあるけれど、特にクレンリネスはホスピタリティの基本として捉えられている。
ディズニーが好きな人なら上記の理念・努力を知ってもいるし、もし理念をよく知らなくても実際に行けばわかる。
ディズニーというのは本当にいつでも綺麗な場所だったからだ。
今回のコメントでも、綺麗なディズニーが当たり前と思っていた人たちから、驚きやショックのコメントがめちゃくちゃ多くあった。
「ゴミを落としてもどこからともなくササっと現れて、なんならパフォーマンスまでしてくれました」
「ディズニー=ゴミが一つも落ちていない場所だと思っていました」
「近所の公共の公園とかと訳が違うので、これでゲストが対応すべきと言っている人はディズニーに行ったことがない人だと思います、昔を知っていたら相当ショックです」
中には、
「え、これ日本?」
「海外ディズニーですよね?」
「この画像は本物?」
など、これが東京ディズニーランドだなんて事実として“信じられない”という意見も少なくなかった。
【要因分析】ゴミのMAX量の見積もり誤り
ではなぜそんなディズニーで、ゴミがゴミ箱から溢れるなんて事態が起こったのか、考えてみた。
結論から言うと、「ゴミのMAX量の見積もり誤り」だと思う。
ゴミ箱を設置する際「このエリアにはMAXでこのくらいの容量分のゴミ箱が必要」と必ず見積もるだろう。
なんとなくであの場に2個のゴミ箱が置かれていたわけではない、2個で足りると見積もって2個設置されている。
その際、見積もりの要素は色々あるはずだが、シンプルに言えば通行量の多い箇所・ゴミが捨てられる可能性が高い箇所(ゴミが出る者を販売している場所の近く等)ほど、ゴミ箱の数が必要になる。
今回、ゴミが溢れていたのは美女と野獣のアトラクション「魔法のものがたり」のQライン(と呼ぶと今回のリプで初めて知った)だ。
Qラインとは「列」を意味する”queue(キュー)”からきているらしく、要はアトラクションの待機列のことだ。並んでいるので自由には動けない。
言わずもがな、美女と野獣の「魔法のものがたり」は現在のディズニーランドで一番人気のアトラクション。
朝10時前にプレミアアクセス購入しようとしたが、すでに売り切れで驚いた。
スタンバイ待ち時間は160分だった。
・春休みでパーク自体が激混み(人の総量が多い)
・朝から晩まで常に列があるので、通行量しか多くないくらい通行量が多い箇所
・列に並んだ後の場所で抜けられない、かつ、屋内に入る前最後のゴミ箱(ここを逃すと捨てられないと思う人が多く、一挙集中状態)
・待ち時間160分ととても長く、フードやドリンクを持って並ぶ人がほとんどでゴミの総量が多い
このあたりの要素はXでも想像している人がたくさんいた。
加えて、この日は激サムだった。
中高生と思われる子たちがみんな震えていて、寒さに耐えられないと言って途中並ぶのを諦める人も見かけたほど。
そのため、暖を取る目的でHOTドリンクを手に持つ人が多く、それがゴミの総量を更に増やしたと思う。
あとは、これは想像している人が少なかったのだけど、アトラクションに並んでいる列なので常に列が動いている状況だ。
あ、ゴミ箱あった?え、なにこれ!?待って捨てないともう中入っちゃう!?早く早く、バラバラバラ~‥
と、進む列にいるため、ゴミ箱を発見してから捨てるまでのその間、約10秒。
それも更なる混乱を呼んでいたように思う。なにか対応を考える隙もない。
ゴミを持ったまま中に入ったら、乗り物に乗せてもらえない。みんなとても困っていた。
それら複数の要因が重なり合い、元々の見積もり想定ではあの場所にはゴミ箱を2個置けばMAXでも回るという見積もりだったのが、実際は足りなかったのだろう。
なので一番の解決策はいたってシンプル、「ゴミ箱の数を増やす」だ。
見積もりはあくまでも見積もりなので、PDCAを回せばいいだけ。やってみて違ったら変えればいい。気づくことが重要。
あとは、サブ要因としてオペレーションにも問題があるとは感じた。
ゴミ箱を見ていたキャストが、見ているだけでエスカレしなかったからだ。
そこのゴミを誰が片付けるべきなのか、の担当だれなの論は、Xでもたくさん予想されていた。
けれど重要なのは「エスカレするオペレーション」を整えることだ。
担当外なら、担当にエスカレすればいいだけ。
担当がいない・忙しい・気づかないなんてのはどんな仕事でもよく起こる。エスカレすればいい。
つまり、
そもそも溢れないようにする対策=ゴミ箱を増やす
万が一溢れた場合の対策=エスカレの徹底
総じてオペレーションで改善できる問題だと思う。
まとめ
当初足りるだろうと予測して設定した、ゴミ箱の数含むオペレーションが回らなかったというのは、想定よりも多くのゲストが来ているという点でポジティブなことでもあるのだろう。
間に合うように改善されるといいなと思う。
ちなみに、コメントでも書いたが
「アトラクションに並びながら食べたり飲んだりするな」
という意見だが、これまたディズニーが望んでない話だと思う。
待ち時間の長いアトラクションでその間に食べ歩きしてくれることは、相当ディズニーの収益に繋がっている。
むしろ、だからこそ持ち歩けるスタイルのものばかり販売していると言っても過言ではないだろう。
だから禁止していない。乗る前までには捨ててねというオペレーションを取っている。
ディズニーランドの1日の来場者数はだいたい5万人らしいので、来場者が仮に1回でも乗り物待ちの間に食べ飲みしてくれたら、仮にその単価500円としてもそれだけで1日2,500万=月7億5千万の売上というフェルミ。すごい、さすがだ。
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