「ニュルンベルクのマイスタージンガー」幕ごと時系列レポ つづき
幕間休憩30分(1回目)
休憩時間が30分と長いのも、公演時間の長いオペラの特徴。始まる前に入口付近のカウンターで、幕間の食事の予約を募っていました。(公演開始前しか予約できないので注意!)オペラハウス内3階のレストラン「マエストロ」で食べられます。
その予約の時点で、1回目の休憩と2回目の休憩それぞれの料理メニューが決まっており、1回目はペンネ+ドリンクで2,000円、2回目はお魚のポワレor牛タンの赤ワイン煮+ドリンクで3,000円でした。私たちは2回目の方を予約しました。その頃には疲れているかもと思い、ビールもつけちゃいました。
さて、1回目の休憩時間はマエストロは予約しなかったものの時間が30分あるので外に出たのですが、目の前のドトールはすでに長蛇の列。少し離れたところにある珈琲館に行き、ケーキセットを頼んで休憩しました。
ドトールは新国立劇場の出口からすぐ目につくのもあってめちゃくちゃ混むので、珈琲館が穴場でおすすめです。すいてて快適でした。
第2幕(70分)
第1幕より時間が短いもんね、と少し余裕気分でスタート。休憩中にプログラムも購入して準備万端に。マイスタージンガーが16世紀のドイツで実在した称号であり、ザックスは実在した有名な靴屋のマイスタージンガーだということを知って驚く。
第2幕から急に「ザックスが主役です」感が出てくるなぁと思う。1幕では数いるマイスターたちの中の1人という感じでそんなに目立ってなかったので、ここでザックスが主役なんだと悟る感じ。
1幕でヴァルターがマイスターになれなかったことを知った娘エーファが駆け落ちを企てるものの止められて結局駆け落ちできず、一方的にエーファに恋するおじさんベックメーサーが騒ぎを引き起こして街の人々が大喧嘩を始めてハチャメチャな感じで終わる第2幕。
え、なんで急にみんな喧嘩してんの?ってハテナになりました。元々1対1の喧嘩なんだけど飛び火して街中が喧嘩しちゃうっていうノリについていけない日本人的脳みそ。
そして、幕の最後辺りになると、登場人物が増えて人がたくさん出てきてみんな口々に歌って字幕もカギ括弧だらけになって追いつかなくてわちゃわちゃっとして盛り上げてジャン! って幕を終える、という流れ、オペラにありがちだよなぁなんてことも思いました。あ、そろそろこの幕終わるなって分かる感じといいますか。
幕間休憩30分(2回目)
楽しみにしてたオペラ内レストラン「マエストロ」でのお食事。まず、スタッフさんに場所を質問して3階ですと言われて行ってみるも、びっくりするくらい入口が目立たないので、「レストラン」という表示を注意深く探してみてください。
おそらくですが、事前予約しか受け付けていないため、予約していないお客さんがその場で入ってこないようにあえて目立たなくしてると思われます。
「レストラン」と書いてある通路を進むと、入口はこんな感じ。
私はバレエが大好きで、バレエを観には何度も新国立劇場に行ったことがあるのですがマエストロの存在は知らなかったので、こんなところにレストランがあったんだ~! とテンションが上りました。
サインの書かれたお皿がたくさん並んで飾られていて素敵でした。席に案内されるともうお料理は置いてありました。
店内は思ったよりも混んでいましたが本当に年齢層が高い、70代メインという感じでさすが平日14時開始の6時間上演オペラ、って感じでした。そんな中完全に浮いていた私たち、妙にリッチな気分にはなりました。
そしてお料理が美味しい、幸せ。牛タン柔らかくてとっても美味しかったし、パンもあたたかくてバターをつけて食べると完璧に美味しかったです。お魚も美味しかったそう。
ビールも頼んだしゆっくりしちゃいそうなところ…いやいや30分しかないんだって、と思い直し急いで食べる。オペラハウス内にあるので外に出なくて良い分多少時間の余裕はあるのですが、とはいえディナー30分って短いですよね。
食後の紅茶は飲みきれず、急いで戻りました。不思議なのは周りのおじいさまおばあさまが気づいたらみーんないないこと。食べるの早くない??って摩訶不思議でした。マエストロに慣れているのだろうか。
第3幕(130分)
きました、130分ある第3幕。2時間以上って普通の舞台1つ終わるじゃんって思いながら、心の準備。ところがビール飲んじゃったんで眠い。開始20分後くらいにちょっとうとうとして眠ってしまったのですが、そこからは物語が面白かったので想像以上にオペラを楽しめてくる。
いよいよ歌合戦の当日。第1幕で歌を酷評された青年ヴァルターは、たった1日でザックスの指導の元マイスタージンガーの様式で歌を完成させる。
その歌の詩がベックメッサーの手に渡ってしまうんだけど、ベックメッサーは正しく歌えなくて散々な失敗に終わってうなだれて、その後にヴァルターが正しく歌って大絶賛されて優勝して娘エーファも勝ち取る。
プロの料理人はレシピを盗まれても平気で、レシピを盗まれたくらいで再現できるようなレベルの料理じゃないんだよ、ってキムタクがドラマの中で言ってたことを思い出しました。
あと、ベックメッサーが歌いそこねた時に観衆が「なんてひどい歌だ!絞首台行きだ!」と歌っていて、歌がひどいくらいで絞首台行きっていう字幕にじわじわきて笑ってしまいました。
そんなこんなでヴァルターは大絶賛されて優勝したのですが、ところが急に、「僕はマイスタージンガーにはなりたくないんだ!」と言い出してびっくり。
「称号無しで幸せになりたいんだ!」という字幕が出た時はその考えはいいね、と思った。そうだよね、マイスタージンガーの称号のために頑張ってるけどその称号ってなんなんだとずっと思ってたよ。
マイスタージンガーを拒否したヴァルターに対し、ザックスがマイスター芸術を尊重しろ~とけっこう長く歌うのですが(見どころなシーンのようです)、その歌が急に「神聖ローマ帝国が消えようともドイツは素晴らしい」みたいなことも言い出すので、ワーグナーの政治的思想を感じたりもする。
そしてラスト、結局ヴァルターはザックスの言うことを聞かず、マイスタージンガーとして飾られる予定だった自分の写真をビリッて破り捨ててエーファと一緒に去っていくという演出でラスト第3幕終了。
なので、結局マイスタージンガーを拒否したけどエーファと結婚は出来たってこと??という疑問が残った。物語的には、「エーファと結婚できるのはマイスタージンガーになれたものだけ」というルールを何回も言ってたのにな?とハテナが残る。
後から調べたら、原作ストーリーは最後ザックスに説得されてヴァルターは納得し、マイスタージンガーの称号を受け入れてそれと同時にエーファと結ばれ、そういった結末を導いたザックスを皆が讃える、というラストみたいなのです。
え?ラスト違うんじゃん!マイスタージンガー拒否って消えたじゃん! とびっくり笑
SNSでもびっくりしている人がいたので、詳しい人からするとけっこう驚きな演出だったようです。オーセンティックな演出でも観てみたいなと思いました。
まとめ
人生で2回目のオペラ鑑賞、事前予習なしで観た率直な感想をそのまま書いてみました。ところどころでストーリーにハテナがついたりはするのですが、1868年初演となると日本はまさに江戸時代が終わった年。
そんな150年以上も前の作品なのに、今でも世界中で上演されてその内容や演出に賛否が起こること自体がすごいと思うのです。クラシックの良さってそんなところにもある気がします。不朽の名作ってそういうことなんだなと。
私がクラシックに惹かれるのも、そういった時代を流れて受け継がれてきた感に魅せられているからかもしれない、とそんなことを考えさせられました。
冒頭の有名な前奏曲が改めて好きになったのと、オペラは字幕を長時間読み続ける作業だという覚悟をしてから観るものだ、ということを思い出しもしました。笑
そしてなんといっても、生の舞台、生演奏、これに勝るものなし。最高です。すぐそこのオケピで演奏が繰り広げられているだけでもアガる。
その日その時そこでしか味わえないLIVEの舞台が本当に好きだなと改めて思いました。100回くらいそれ思ってるんだけど、舞台を観終わるたびにその感動があります。
頑張って稼いで月1舞台鑑賞しよう! という今後の目標ができた日でした。
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